国際フォーラム終了のご報告と御礼

日本生態系協会主催の国際フォーラムが13日、多くの方にご来場いただき、盛況のうちに終了しました。講演者の方々、来場者の方々、並びに開催のために労を尽くして下さった方々に深く御礼申し上げます。

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テーマは、「復興から見える新たな日本の創造」。復興に向けて、災害に強い持続可能なまちをつくることについて、考え方やヒントを多く得ることができたと思う。

ミズーリ州緊急事態管理庁の副長官ダイムラー氏からは、ミズーリ川の大洪水の対策として、被害を受けた土地を買い上げて住民を氾濫原の外に移転させるバイアウト政策を中心にお話しいただいた。私は1993年のミシシッピ川の大洪水の後、1995年に渡米し、バイアウト政策というものがあることを知ったときの感動と驚きを思い出しながら拝聴した。
国際自然保護連合の上席科学顧問マクニーリー氏は、生物多様性スペシャリストとして、自然破壊や地球温暖化による気候変動によって、甚大になっている自然災害に備えるためには、集水域単位でまちづくりを考える必要があるという話をしていただいた。
また、今回、被災地から、宮城県利府町鈴木町長、岩手県山田町の沼崎町長の、2人の町長にお越しいただくことができた。極めてご多忙の中ご講演いただけたのは、被災した自分たちの町の現状と、復興に向けた思いや取り組みを全国に発信したいという強い信念からであり、現場の指揮をとる中での臨場感あるお話しを伺い、その思いをはっきりと感じた。
総括は、東京都市大学 教授 涌井史郎氏にお願いした。涌井先生には昨年のフォーラムでもお世話になっているが、本質を捉えた的確な言葉でまとめてくださった。

私も『本能から叡智へ − 対決から自然との調和へ』と題して、基調講演をさせていただいたが、フォーラムを通じて共通して言えることは、津波や洪水にはじまる自然災害から人々の命と暮らしを守るためには、「自然との共存」という視点が必要不可欠であるということだ。人知を超える自然災害に、コンクリートのみで対峙することはできない。しかも温暖化でますます災害は予測不可能で甚大さを増してくる。広域で災害を減らすための土地利用を考え、暮らし方を見直すしか道はない。山田町の沼崎町長の、「自分の町から二度と津波による犠牲者を出さない」という言葉は、私と同じように来場者全ての心に深く刻まれたに違いない。未曽有の悲劇を二度と起こさぬよう、被災地の方々が前を向いて暮らせるような復興に向けて、私も一層活動をすすめていく思いを再認識したフォーラムであった。

※なお、本フォーラムの講演録は、今年末頃に日本生態系協会のウェブサイトで公開される予定。