挨拶

今、東日本大震災原発事故をきっかけに、私たち日本人は、自分たちが生きている社会について、将来について、その在り方を見直しています。
私たちは、このまま経済的な「豊かさ」を求めてひたすら走り続けて、本当に幸せになれるのか。起こってしまったこの悲劇を、子どもたちや将来の人々のために、よりよい社会へと変える「機会」にすることが重要なのです

私は、以前から、自然と共存する持続可能な美しい社会づくりに関する提案をしてきました。これまでも、会報誌や、講演でお話しさせていただいてますが、このブログでも、数十年かけ世界や国内をまわって得た情報やそれを元にまとめた考えを、テーマごとに述べていきたいと思います。
今すぐ身近な場所や世界のいたるところで起こっている環境や社会の問題について、どう考えればよいのか、どう行動すればよいのか、その答えを見つける一助となれば幸いです。


(財)日本生態系協会主催 
国際フォーラム「復興から見える新たな日本の創造‐全国どこでも起こる大災害‐」
9月13日(火)13:00−17:40 津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷
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原発を止めなければならない、3つの理由

3.11から半年になろうとしている。原発事故当事者である日本は、いまだに原発の是非で大きく揺れている。
一方、ドイツは5月に原子力発電所の停止を表明した。なぜそう決断したのか。その理由を確かめるために、私はすぐドイツへ渡った。そして、メルケル首相率いる与党の保守派政党(日本でいうところの自民党)所属の国会議員に直接理由を聞くことができた。

理由は三つだ。
もっとも大きな問題は、原子力発電を稼働させた結果生じる高レベル放射性廃棄物というゴミを処理できない、ということ。ドイツでは近年、30年前に地中深くに埋めた放射性廃棄物が地下水を汚染していることが発覚し、その処理に膨大な費用がかかることと、取り出したゴミの処理ができないことが分かった。3万年、5万年という半減期をもつ放射性物質を処理する技術を、私たち人類はまだ持ち得ていないのである。
さらに、原子力発電所を運用するための技術的な安全性の問題が解決されていない点、3つ目はテロの脅威や国際的な紛争が起こった場合の安全が確保できない点である。この3つの理由から、ドイツでは、国内で稼働している原子力発電所を近い将来すべて廃止し、風力や太陽光エネルギーなどの再生可能エネルギーの供給割合を拡大させていく見通しを示した。

女川原子力発電所宮城県

日本でもこの3つの理由はすべて当てはまる。政治家やマスメディアでは、技術的な安全性の確保のみに注目していることが多い。最大の問題であるゴミの処理方法が確立しないかぎり、原子力エネルギーは使用するべきではない。将来世代の人々に、「処理できない」ゴミの処理を託すなど決して許されることではないのだ。


「ウラン鉱床露頭発見碑」:1955年、岡山県鳥取県県境にある人形峠で、日本で初めてウラン鉱床が発見された。

もちろん、ウランは貴重な地下資源なので、将来世界が平和になり、原子力エネルギーを安全に活用し、ゴミも安全に迅速に処理できるよう研究を継続していくことは人類にとって有効なことだと思う。

しかし、現段階では、一刻も早く原子力発電所を停止させ、その上で、持続可能なエネルギー政策と、その実現に向けたライフスタイルや経済・社会の在り方を考えていくべきである。日本の決断を、世界中が注目している。そしてそれは、日本の子どもたちと将来世代の人々の命運を左右することになる。

(財)日本生態系協会主催 
国際フォーラム「復興から見える新たな日本の創造‐全国どこでも起こる大災害‐」
9月13日(火)13:00−17:40 津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷
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